再び「CiNii(サイニー)」で見つけたチン論文!思春期男子と異物挿入について
前回挙げたサイニーの記事に対し、予想以上に反響があったので驚いております。
「CiNii(サイニー)」で読める「アナニー事故」!? 論文サーチエンジンを無駄に活用!!! - ばななぼーと
ついには、はてな公式とSmartNewsまでも・・・
そんなわけで、ここまでウケてしまったために、
次に書く記事のハードルがめちゃくちゃ上がってしまいました。
何を描こうか迷っていた僕でしたが、
気付いたらまた「CiNii」で検索していました。
今回の検索ワードはずばり、
「自慰 事故」
なんて頭の悪い検索ワード・・・
天下の論文サーチエンジンも悲しんでいることでしょう。
しかし、そんな僕の飽くなき探究心をも、「CiNii」は包み込んでくれました。
2件の検索結果!
しかもそのうち1つはこの間のアナニー事故のやつ!
とりあえず、アナニー事故論文は置いといて、
まだ見たことが無い論文の方を見てみることに・・・
今回の掲載誌は
「日本泌尿器科學會雜誌 第100号6巻」
その名が表すように、日本の泌尿器科の最前線を追っている専門誌のようです。
なんと、記念すべき100号に掲載されたものみたいですね。
気になる論文のタイトルは・・・
「思春期男児膀胱尿道異物の2例 : 自己挿入にいたる背景の考察」
今度は尿道への異物挿入のようです。
自慰の事故といば異物挿入なのでしょうか・・・
それでは、論文を見てみましょう。
【要約】より引用
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思春期尿道異物の2例を経験したので報告する。
症例1は12歳、男子、肉眼的血尿、および尿道痛を主訴に当科を受診した。
KUB、および尿道膀胱鏡で前立腺部尿道に全長7.5cmの伸展させた状態の安全ピンが認められた。
患者は否定したが、安全ピンは自己挿入されたと推察された。
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今回は2つの例が紹介されている。
まず、症例1であるが、伸ばされた安全ピン7.5cmを挿入とのこと。
伸ばされた安全ピン7.5cm?!?!
けっこう、長くないそれ!?!?
いくら細いとはいえ、まっすぐ入っていくと思ったのでしょうか・・・
>患者は否定したが、安全ピンは自己挿入されたと推察された。
どうやって否定するんだよ!!!!!!
いや、一応否定するだろうけれど!
無理に決まってるだろ!!!!
続いて症例2・・・
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症例2は14歳、男子。
全長5cmの円柱状の金属を自慰目的で自己挿入した。
KUBで異物は膀胱内に認められた。
2例とも内視鏡的に異物を摘出し得た。
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なんか、先に安全ピン7.5cmを見てしまったので、
長さ的にはそれほど衝撃はありませんが、
>膀胱内に認められた
入りすぎぃ!!!!!!!
ちなみに、ここで出てくる「KUB」とは、
腹部単純X線検査 (kidney ureter bladder)のことみたいです。
ようするに、レントゲンですね。
とりあえず、今回も2人が無事であったようで何よりです・・・
今回は、要約だけでなく、
本文の考察の方も少し見てみましょう。
論文本文より引用
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尿道膀胱異物は男女を問わず多くの報告があり、
異物の種類も多岐にわたる。三浦らの集計によると、
本邦では 1996 年までに 1367 例の尿道膀胱異物が報告されており、
性別では男性が女性の 1.7 倍であった。
年齢別では20 代がもっとも多く(28.8%)、次いで 10代であった(20.4%)。
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どうやら、今回のような事故はそれなりに起きているらしいですね。
そして、男性の方が多いとのこと。
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自己挿入の動機としては、性的好奇心と自慰目的が多く、
その他精神的疾患、事故によるものなどがある。
しかし、患者の精神状態とその背景を評価した報告は少ない。
Kennyらは、快感を目的としての尿道粘膜刺激は
精神疾患の初期症状の可能性があり、
尿道での自慰を繰り返す場合があるため、
精神科医の診察と経過観察での協力が重要としている。
Costaらは、思春期における異物の自己挿入は
人格障害の初期症状である可能性があり、
精神科医へのコンサルトの必要性を述べている。
一方で、異物を自己挿入した患者の大多数では精神疾患はなく、
精神検査施行に賛同しないとする意見もある。
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自己挿入と精神状態の関係性については、
①Kenny説:精神疾患
②Costa説:人格障害
があるようですが、結局のところよくわからないらしいです。
また、そのように精神と結びつけて検査することを疑問視する意見も見られるようですね。
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成人例では精神疾患がなければ自ら医療機関を受診すると考えられるが、
膀胱尿道異物を自己挿入した思春期症例では
家族などからの叱責への危惧や羞恥心が受診の機会を遅らせ、
病状の悪化を招く可能性が高い。
事実、症例 2 は受診 2 日前に自己挿入したと答えたが、
摘出した異物の表面に結石が付着していたことから、
実際は挿入後一定期間が経過していたと考えられる。
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この論文が課題として一番訴えたいことはたぶんここでしょう
>家族などからの叱責への危惧や羞恥心が受診の機会を遅らせ、病状の悪化を招く可能性が高い。
おそらく、思春期男子の家族に出来ることは、
いち早く異変を察知すると共に、
事故原因に見て見ぬふりをする優しさを全力で発揮すること。
それぐらいじゃないでしょうか。
もし、他に対処法が思いつた方がおりましたら、是非コメントください。
今回、見てきた論文はこちらです。
思春期男児膀胱尿道異物の2例 —自己挿入にいたる背景の考察—
リンクからPDFで閲覧することが出来ます。