近藤聡乃『A子さんの恋人』【おすすめ漫画紹介】
「たま」というバンドを御存じだろうか?
もしかすると、2015年の現代においては、
まったく聴いたことがないという人がいても、
おかしくは無いのかもしれない。
そして、知っている人のなかでも、
「たま」に対する認識は大きく異なってくるだろう。
一般的に、「たま」というと、90年代初頭のバンドブームの中で、
「イカすバンド天国」などのテレビ番組で、「さよなら人類」という
曲を歌っていたイメージが強いのではないだろうか。
だが、実際のところ、「たま」は1984年の結成から2003年の解散まで、
かなり長い期間活動していたバンドで、
今でも、熱狂的なファンがいるバンドだったりもする。
そして、僕もその熱狂的なファンの一人である。
と、ここまで書いて、
このままでは「たま」の記事になってしまいそうだなぁと
危惧し始めたので、話を少々強引に修正することになるが、
そんな「たま」がメンバーの脱退などを経て、
3人編成となった後期の楽曲に『電車かもしれない』という曲がある。
たまの楽曲の大半は、PVが無い。
しかし、この曲に関しては、近藤聡乃(こんどうあきの)さんという方の投稿作品が、
NHKBSの「デジタルスタジアム」という番組でアニメーション部門賞を
2002年に受賞したこともあり、注目を集めた。
↑の動画がそれである。
楽曲の雰囲気にマッチした寂しさがいい感じに出ています。
何とも言えない不思議な雰囲気のアニメーションを作る人、
そういう見方で近藤聡乃さんという人物を認識していたのですが、
数年前に、中野のタコシエで平積みになっている近藤さんの画集を目にしました。
パラパラとめくってみたのですが、
綺麗なタッチで描かれたドローイングや油彩が載せられて、
それまで「アニメーター」と認識していたはずが、
やっぱり「アーティスト」だったのかぁ~なんて思ったりしたことを憶えています。
それからまた数年が経ち、今日。
書店で新刊漫画のコーナーを見ていると・・・
マ、マンガ家になってる~~~~
これまたびっくらこいたわけですが、
どうやら、以前から漫画は少しだけ描かれていたようですね。
でも、長編連載はこれが初めてのようです。
以下、Amazonの内容紹介を引用。
29歳のえいこさん。誰といっしょになるとか、どこで暮らしていくとか
――そろそろ決めなきゃいけない問題も増えてきた。
とはいえ、答えなんてすぐに出せない(出したくない!)わけでして……。
ああでもない、こうでもない、と思い悩むえいこさんの厄介な日々を綴った『A子さんの恋人』、
待望の刊行スタート!
なんか、あらすじだけ見るとアーティスティックな世界観とは
だいぶ異なる日常路線のように見えますが、
いざ、読んでみると、これがなかなかおもしろい!
じっくりと読まされる漫画、という体験を久しぶりにしたような気がします。
1コマ1コマに物語が詰まっていて、かなり読みごたえがあります。
内容としては、ダメなアラサー男女の脳内を垣間見ているようなものなのですが、
妙にすっきりとした読後感のあるオチで毎話楽しむことができます。
「気付いたらダメになってること」って、こういう風に起きているんだろうなーと
思わされる話が多く、考えさせられたりもします。
とにかく、まずは一読していきたいので、
好評発売中の1巻を是非読んでみてください。
アンケートハガキ、出してみたくなりました。