もうひとつの『まんが道』!矢口高雄『ボクの手塚治虫』!!!
僕が好きな漫画のひとつに
藤子A先生の『まんが道』という漫画があります。
とても有名な漫画なので読んだことがある人も多いと思いますが、
雪国富山で出会った二人の漫画少年が、
漫画家をめざし、努力する物語です。
そのなかでも特に印象的なのが"漫画の神様"こと手塚治虫の存在です。
二人は手塚の『新宝島』に強く影響を受け、
手紙を出してみたり、実際に会いに行ってみたりと、
漫画家への夢を膨らませる存在として、
常に手塚先生の存在がありました。
そして、場所は違えど、同じように雪国で悶々としながら、
天才手塚に憧れている人間が・・・
それは、後に『釣りキチ三平』で名を馳せる
矢口高雄先生!!!
矢口先生が漫画家になるまで、
そして、そのきっかけとなった手塚作品との出会いについて
描いた『ボクの手塚治虫』という漫画があります。
雪国秋田の中でも、
ほんとうにほんとうに山の方にある
田舎で生まれた矢口先生にとって、
当時は漫画を手に入れることそのものが
大きな苦労を要していたと冒頭で語っています。
そんななか、ひょんなことから
家に1冊の漫画が。
その漫画とは
手塚治虫『流線型事件』!!
映画のようなスタイリッシュなコマ割りや、
科学の知識を漫画の中に見事に取り混んでいるのを見て、
矢口少年は大きな衝撃を受けます。
しかし、先述したように、
当時矢口少年が住んでいたのは本当に本当にド田舎。
『まんが道』で描かれていたような本屋すらなく、
漫画が読みたいと思っても読めない、
そんな状況で、手元にある限られた漫画を
全力で読む姿勢が描かれているのが面白いです。
個人的に好きなシーンは、
星の観察をしながら、
手塚漫画のキャラに思いを馳せるシーン。
まだ、萌えという言葉が生まれる何十年も前のことですが、
漫画のキャラに恋をするという感情が、
この頃からあったのだなぁと思わされる
なんとも共感せざるを得ないエピソードです。
その後、矢口先生はいろいろあって、
銀行員として就職し、結婚。
漫画家になる夢を忘れたというよりも、
田舎という現実でのなかで暮らしていくには、
どうしても難しいものがあったのでしょう。
しかし、そんな矢口先生は
どうやって漫画家になったのか。
そして、憧れ続けていた手塚治虫に近づくことはできたのか!
是非、読んで確かめてみてください。www.amazon.co.jp